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あらすじ
ある住宅街の一軒家で、箱に入った男の死体が発見される。物語はそこから10年前に遡り、箱の中に入った父と、普通に暮らす母、そして5歳の少女・由美子(ゆみこ)の生活へ移っていく。
由美子は、父が心の病によって箱から出ることができなくなってしまったと説明され、その状況を当たり前のものとして受け入れてきた。しかし、成長するにつれて、自分の家庭がどこかおかしいことに少しずつ気づき始める。温かな家族の記録のように見える日常の中に、じわじわと不穏さが滲んでいくサスペンス作品。
どのような作品?
子育てエッセイ風のラフで可愛らしい絵柄からは想像しにくい、かなり不穏なサスペンスが展開される1巻完結の作品。絵柄自体は簡易的でやわらかいのに、描かれている家庭の状況は明らかに異様で、そのギャップが作品全体の怖さにつながっている。
「父が箱の中にいる」という設定そのものは強烈だが、作品の怖さはその奇抜さだけではない。由美子が幼い頃からそれを普通のこととして受け入れてきたこと、そして成長するにつれて少しずつ違和感を抱いていくことが、家庭の歪みをじわじわ浮かび上がらせていく。温かな家庭エッセイのような空気をまといながら、どこか決定的におかしい。その独特な不気味さを味わう作品だと思う。
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