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あらすじ
65歳で夫と死別した茅野うみ子(かやの うみこ)は、数十年ぶりに映画館を訪れる。そこで独特な雰囲気をまとった映像専攻の美大生・海(カイ)と出会い、彼を被写体に映画を撮ってみたいという衝動に駆られる。うみ子はその気持ちに背中を押されるように、美大に通って映画づくりを学ぶことを決意する。
若い学生たちに囲まれながら、自分に残された時間が思ったより少ないことも意識しつつ、うみ子は自分の作るべき作品と向き合っていく。人生の後半から新しい表現に踏み出す物語でありながら、単なる再出発の話ではなく、何を作り、何を残すのかという切実さが強く流れている作品。
どのような作品?
とにかく描写と心情描写が丁寧な作品。おばあちゃんが余生を使って映画を学ぶ、というだけのスローライフ的でほのぼのした話ではなく、ものづくりに対する情熱や初期衝動がしっかり詰まっているのがこの作品の強さになっている。
「人生、何を始めるにも遅くない」という言葉だけでは済まされない、時間には限りがあるという現実もきちんと描かれているのが印象的。その中で、うみ子が何を作り、何を残すのかが胸を打つ。特にものづくりをしている人からの評価が高いのも納得できる作品で、創作に向き合う苦しさや熱量を知っている人ほど強く刺さりやすい。年齢や再出発を扱った作品というより、創作の衝動そのものを描いた作品として読むとかなり深く残る一作。
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