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あらすじ
7年ぶりに再会した父に「人魚のムニエル」を食べさせられたことで、不老不死となってしまった麗(うらら)。父は、これで病気の母と三人でずっと仲良く暮らせると喜ぶが、麗はすでに母が2年前に亡くなっていることを告げる。自分だけが老いず、周囲の人たちを失い続けていく寂しさが、表題作では静かに描かれていく。
収録作には、ロボットやタイムリープといったSF的な要素を持つ話も多く含まれている。ただし、それらは大きな仕掛けを見せきるというより、人の感情や関係性の揺れを切り取るための装置として使われている印象が強い。どの短編も、起承転結の“転”あたりでふっと終わるような作りが多く、その先を読者自身が脳内で補完するような作品集になっている。
どのような作品?
SF的なアイデアを含みながらも、読み味としてはホラーではなく、喪失感や人との距離、置いていかれる感覚のほうが強く残る短編集。異様な出来事は起こるものの、怖がらせること自体が目的ではなく、その状況の中で人が何を感じるのか、何を抱えたまま生きるのかを見ていく作品に近い。
初期短編集らしい粗さはありつつも、どこか脱力したような癖になる世界観が広がっているのも特徴。話を綺麗に閉じるというより、感情や余韻を残したまま終わる短編が多いため、読後に続きを想像したくなるタイプの作品でもある。ロボットやタイムリープのような要素がありながら、印象に残るのは仕掛けそのものではなく、そこに滲む寂しさや妙な感触で、変わった余韻のある短編が好きな人に向いている一冊。
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