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KADOKAWA / COMIC SELECTION

#KADOKAWA

レーベルと媒体数が多く、ジャンルの幅が非常に広い出版社。少年エース、ヤングエース、電撃大王、ドラゴンエイジ、ハルタ、コミックビームなど、雑誌カラーが多様。

41作品

広告:Amazon・DMMへのアフィリエイトリンクを含みます。

まずは、この一冊から。

土砂のイチオシ

気になる表紙から、読んでみよう。

KADOKAWAの漫画一覧

リセット

全41作品

アビスマルの表紙

アビスマル

こかむも

スタイリッシュさと可愛さを前面に出しつつ、アクションは鋭く格好いい、ダークファンタジー寄りのガールミーツガール。主人公が何者なのか分からない状態から、作り込まれた「悪夢と童話」の世界を初見で探索していく感覚が強く、読み進めるほど没入感が増していく。装丁・表紙デザインの完成度も高く、紙で揃えたくなるタイプの一冊。
可愛いだけではなく、ダークさをしっかり備えた作品を読みたい人に向く。

かわいすぎる人よ!の表紙

派手な事件やドラマはないけれど、心の襞に優しく触れるような物語。
メイの真っ直ぐな生き方や、周囲との静かな関わりの中に、人の温かさや絆がじんわりと描かれる。
そして、タイトルの「かわいすぎる人よ!」は、きっと読後には**“メイ”にこそ向けられた言葉だったんだ**と、胸に残る。
やさしい気持ちになりたいとき、誰かを大切に思う気持ちを思い出したいときに読みたくなる一冊。

僕の彼女はデッカワイイの表紙

ただのラブコメというより、「尊い」って言葉がぴったりくるタイプの作品。
お互いにコンプレックスを抱えながらも、相手のことは本気で大切に思ってる関係性がとても丁寧に描かれている。
特に魅力的なのはヒロインの大日方さん。背が高いせいでどこか自信がなかったり、ふと見せる優しさがすごくリアルで、身体は大きいけど中身はとても繊細。
見下ろす角度や、逆に下から見上げる構図など、身長差を活かした描写がとにかく上手くて、大日方さんの可愛さが際立ってる。
“好きな気持ち”がまっすぐに描かれていて、読む側も自然と笑顔になるような作品。

正しいナイフの使い方の表紙

実在事件を“作品化した小説家”の前に、当事者を名乗る青年が現れる。ここから始まるのは、ミステリーとしての緊張感と、創作論としての嫌なリアルが同じ線で絡み合ってくるサスペンス。

眞家は「書いた側」で、西は「書かれた側」かもしれない。この非対称な関係が、対立というよりも、どこまで踏み込んでいいのか分からない距離感として続いていく。恋愛(BL)ではないのに、ブロマンス的な引力だけが濃く残るのも特徴。

1巻時点では謎や伏線っぽい描写が多く、真相を急いで提示するというより、「この二人がどこまで近づき、何を引き出し合ってしまうのか」を不穏さで引っ張っていく構成。創作が人を救う話というより、創作が現実に触れた瞬間に起きる軋みを描くタイプの作品。

臓腑の花束の表紙

臓腑の花束

ISHIDA UMI

とにかく絵が上手く、演出の強さと独特の不気味さで目を離せなくなる作品。設定だけを見ると、少年と異形の存在が出会う王道の形ではあるものの、その王道の上にかなり不穏な空気や異様な演出が積み重なっていて、素直なボーイミーツものとしては読めない手触りになっている。

特に1巻の段階では、セキの正体や島の秘密など、気になる要素が次々と提示される一方で、はっきりした答えはまだ見えてこない。そのため、物語を読むというより、不気味さと謎に引っ張られて一気に読まされる感覚が強い。キャラクターデザインも可愛く、少年キャラや異形との関係性に惹かれる読者にもかなり薦めやすい作品。

ストーンフラワーの表紙

黒い霧に閉ざされた京都と、外界で繁栄する爬虫類人類という設定がかなりワクワクするSF作品。車椅子の少女・るてんとメイドのカナというキャラクターの組み合わせも強く、まずキャラデザがとにかく良くて可愛い。そこに、閉ざされた京都、外の世界との時間のズレ、爬虫類人類の存在など、1巻の時点から気になる要素が次々に出てくる。
まだ1巻の段階では謎が多く、黒い霧の正体や京都が封印された理由、るてんたちがなぜ追われているのかなど、分からない部分も多い。ただ、その分だけSFとしての引っ張りがかなり強く、世界観のスケールがどんどん広がっていきそうな面白さがある。可愛いキャラクターと、閉ざされた世界をめぐる大きな謎の両方を楽しみたい人におすすめしたい作品。

メガロザリアの表紙

メガロザリア

みやまるん

悪役令嬢ものに分類できる作品だが、ロザリアはかなり正真正銘の悪役令嬢。倫理観がかなり欠如していて、人の命を奪うことにもほとんど躊躇がない。
主人公も敵も、誰もまともに良いやつではない。その思い切りの良さが逆にスカッとする作品になっている。殺害現場を見れば時を戻せるという最強クラスのギミックを持ちながら、ロザリア本人は詰めが甘く、追い詰められると力技で突破しようとする。そのぶっ飛び方がたまらない、かなり物騒な悪役令嬢ファンタジー。

ピとポとまちながらの表紙

殺し屋と文鳥という組み合わせがまずかなり強い作品。文鳥は1羽で、その小さな存在がタケの生活に入り込んでくることで、血なまぐさい世界と日常の手触りが妙に混ざっていく。
ペット漫画としての細かさもありつつ、ただ癒やされるだけの話ではない。妻の失踪、殺し屋としての仕事、タケの過去がじわじわ絡んでくるため、読んでいる感触はかなり独特。新井英樹作品らしい人間の湿度と、変なユーモアと、ふとした不穏さが同時に残る作品。

ウェイバーズの表紙

ウェイバーズ

山本和音

28人の超能力者が通う全寮制の学校で、嘘を見抜く能力を持った少女・藤が殺人犯を探していくミステリー漫画。

特徴的なのは、28人それぞれの能力が分かった状態で物語が始まるところ。読者も登場人物の能力を踏まえて、誰が犯人なのかを考察しながら読み進めることができる。超能力の設定を把握したうえで、自分も犯人探しを楽しめるのが魅力の作品。

滅亡天使ほろぶちゃんの表紙

滅亡天使ほろぶちゃん

原作:たむらゲン/漫画:水田マル

世界を滅ぼした天使・ほろぶちゃんとタカシが、その後の世界で二人で生きていく終末世界もの。ただ、作品の雰囲気を言葉で説明するのが、かなり難しい作品でもある。

天使という存在そのものに謎があり、どことなく不穏な空気が漂っている一方で、ほろぶちゃんはそれを感じさせないほど明るいキャラクターとして描かれている。その明るさの中に、違和感や不穏さを薄く混ぜ込んでいくところが特徴的。

明るいキャラクターと、不穏な世界の見せ方。その混ぜ方に、漫画表現の巧さが光る作品。

午後の光線の表紙

恋愛ではなく“救い”を描いた、心に刺さるボーイ・ミーツ・ボーイ作品。
分類上はBLとは言い切れないけれど、性描写もあるため境界線上にある一冊。
とはいえ、本質は「誰かと出会うことで少しだけ前に進める」という人間の成長にフォーカスが当たっていて、 “ボーイズラブ”というより、“人間の心の再生”を描いたドラマとして読むのがふさわしい。

読後にじんわり残る“熱”や“光”が、この作品の大きな魅力。

マイ・ブロークン・マリコの表紙

「死んだ親友を、せめて自分の手で救いたい。」

そんな想いを抱えた主人公・シイノの“弔いの旅”を描いた物語。

マリコは実の父親からの虐待に加え、大人になってからも、暴力や搾取を繰り返すクズな男たちにしか出会えなかった。
誰にも救われることなく生き、そして死んでいった彼女の人生。
そんな彼女の姿を思い出しながら、シイノは怒りややるせなさ、悔しさを抱えながら走り続ける。
冒頭から心をえぐるような描写が続くが、その中には確かに“生きる”ということの重さが詰まっている。
マリコとの記憶を抱きしめながら突き進むシイノの姿に、読者はいつしか自分の大切な誰かを重ねるかもしれない。
読む人を選ぶほど強烈だけど、だからこそ刺さる。そんな一冊です。

光が死んだ夏の表紙

光が死んだ夏

モクモクれん

田舎町のジメジメとした夏を舞台に、日常と非日常がゆっくりと交錯していくホラー作品。
異質な存在との共生を描きながら、少年の孤独や執着、受け入れと諦めの感情が静かに沁み込んでくる。
日常ものとしての側面もありつつ、不気味で切ない空気に満ちた一作。
友情、ホラー、不安、どれか一つでも刺さる人には確実に響く内容になっている。

カラオケ行こ!の表紙

中学生とヤクザという異色のふたりが「歌」を通じて心の距離を縮めていく物語。おかしな状況ではあるけれど、登場人物たちは至って真剣で、だからこそやりとりの端々に自然と笑いが滲み出る。軽やかでどこか切なさも感じる、優しく温かな青春ストーリー。
続編『ファミレス行こ。』では大学生になった聡実と再会した狂児との関係が描かれ、変化しながらも続いていくふたりのつながりが、より静かで深い余韻を残す。

鍋に弾丸を受けながらの表紙

鍋に弾丸を受けながら

原作:青木潤太朗 作画:森山慎

海外の危険な地域を探索しながら、その土地の美味しいご飯を食べていくグルメ漫画。
レシピなども載っており、実用的な面もあるが、作者の記憶を頼りに描かれているため、一部のレシピには不明瞭なものも多い。
画面には美少女しか映っていないが、実際に登場しているのは屈強な見た目のおじさんばかりである。

贋まがいものの表紙

贋まがいもの

黒川裕美

“本物”になれなかった男が、“偽物”に命を吹き込む。
贋作を描く過程が驚くほど精密に描かれていて、その緻密さと筆致の説得力は、作品自体の“画力”によって支えられている。
日本画の繊細なタッチ、贋作完成までの息詰まる工程、売買の場面での駆け引きや緊張感。
すべてが丁寧に描かれ、紙面から狂気と熱量がにじみ出る。
昭和初期の時代背景も重なり、静けさの中に燃えるような美しさを感じるアート×クライムの逸品。

Nの表紙

N

原作:くるむあくむ 作画:にことがめ

2024年に話題になった「モキュメンタリー風ホラー」の系譜にある一作。
ドラマ『イシナガキクエを探しています』や『変な家』のような、フィクションでありながら“リアルな証言”のように描かれるスタイルが特徴。
“N”という名前しかわからない存在を、語り部を通じて少しずつ輪郭化していく構造が秀逸で、ゾクゾクが止まらない。
紙媒体ならではのギミックも仕込まれており、ホラー好きならぜひ紙で味わってほしい体験型怪談作品!

ファンシー革命の表紙

ファンシー革命

犬島ななこ

“世界に可愛いを届ける”を真面目に描く、お仕事×成長譚。
スケッチから試作、監修、量産、販路まで──憧れと実務が同じテーブルに置かれ、理想と現実の折り合いが毎話の見せ場になる。
同期それぞれの「私の可愛い」が衝突し、混ざり、更新される過程は、友情とライバル関係の両立として一貫して熱い。
ゆるい百合味に見える表層を越えて、“好き”を仕事として守り切る体力を正面から描く。全国の子どもたち(=ユーザー)へ届く一点の線や色に、作り手の覚悟が宿る。

ギルティえんじぇるの表紙

小学生の女の子たちが犯罪に手を染め、そこに盗撮犯の男が巻き込まれるという、かなり異様な設定の作品。題材だけでも相当強いが、読み味としてはショック描写だけで押すというより、秘密を共有してしまった者同士が、共犯関係の中で少しずつ結びついていく気味の悪さと危うさが印象に残る。

関係性そのものはかなり歪んでいるが、ただ不快なだけではなく、その中でお互いに情のようなものが芽生えていくのが本作の面白さでもある。可愛らしい見た目の小学生たちと、やっていることの異常さの落差も強く、サスペンスとしての緊張感がしっかりある。一方で、扱っている題材がかなり重く、倫理的にもかなりきついので、読む人はかなり選ぶタイプの作品。不穏な関係性や、後戻りできない共犯もの、気味の悪さと妙な情が同居する物語が好きな人には刺さりやすい一作。

星屑家族の表紙

星屑家族

幌山あき

少子化対策や虐待防止といった“善意の制度”を、政策の説明ではなく生活の温度で描く家族SF。配点や適性の言葉が、炊き立ての湯気や寝息とぶつかり合い、理屈と情のあいだに残る「答えきれない余白」を丁寧に見せる。子ども目線の審査官という設定が効いていて、観察と迷いが同じページに同居する。理想の親子像をアップデートしながら、「幸せ」を誰がどこに置くのかを静かに問う、小さくて重い家庭劇。

はっぴー・どーる・でいずの表紙

SNS発、“カスタムドール”というニッチで可愛い趣味を通じてつながる女の子たちの日常を描いた百合作品。社会で疲れた心にスッと染み込むようなテンポ感で、可愛いものを「可愛い」と言える世界の尊さがじんわりと広がっていく。
ギャル風の彩巴や、自分の「好き」に素直になっていく結衣の姿は、推し活に勇気をもらった経験のある読者には特に刺さるはず。ドールも登場人物も、画面のすべてが“可愛い”で満ちていて、何も考えずに癒されたいときにぴったりな1冊。
百合的な空気感はあるものの、重たくはなく、ゆるやかで前向きな関係性が中心。自分の“好き”をまっすぐに肯定できるこの物語は、推し活に悩んだことのあるすべての人にとっての小さなエールにもなる。

僕だけがいない街の表紙

サスペンス×SF×ヒューマンドラマが交錯する物語。
「子ども時代に戻って人生をやり直す」という夢想に、「命を救う」という現実の重さが重なる。
手を伸ばせば届きそうで、でも届かない――そんな儚さと必死さが胸を打つ。
描かれるのは、過去に届かなかった想いと、もう一度向き合おうとする意志。
ミステリーの枠にとどまらない、“贖罪”と“希望”の物語。

ダンジョン飯の表紙

ダンジョン飯

九井諒子

モンスターを食材として調理するという、一風変わった設定が光る異色のダンジョンファンタジー。
王道の冒険譚とは一線を画しつつも、モンスターの生態、調理方法、味の描写まで細かく作り込まれており、読み進めるほどに“異世界グルメ”というジャンルの奥深さに引き込まれていく。
時にゆるく、時にシリアスに、仲間との関係性や過去にも焦点が当たっていく構成も魅力。

気になってる人が男じゃなかったの表紙

イケメンすぎる女子×赤面しがちなギャル―― 王道ラブコメ的なニヤニヤと、「同性同士の恋愛」という繊細なテーマを、驚くほど軽やかに描ききっている作品。
「男じゃなかった」と知った後も、変わらないふたりの距離感がひたすらに尊くて、見守る気持ちで読み進めたくなる。
特にみつきの“キメ顔”は毎回キマりすぎてて、思わず「カッコいい!!!」と叫びたくなること間違いなし。
全編フルカラー、緑基調の画面設計も相まって、目にも心にもやさしい一作。

映画大好きポンポさんの表紙

映画大好きポンポさん

杉谷 庄吾【人間プラモ】

もともとはpixiv発、のちに映画化も果たしたクリエイター青春漫画。
創作に関わるすべての人の心に刺さる、優しくも熱い物語で、「何かを作るってこういうことだよな…」と実感できる名作。
登場人物の言葉や作品に込める想いがシンプルで力強く、特に「“誰か一人”のために作品を作ればいい」というセリフは、ものづくりの本質を突いている。
華やかさだけでなく、創作の裏にある孤独や迷いにもしっかりフォーカスしていて、自分の“表現”と真剣に向き合っている人ほど、刺さる内容になっているよ。

ウルトラヘヴンの表紙

近未来を舞台に、ドラッグによる意識の変容を描いたSF作品。
合法薬物が日常に浸透した社会で、主人公は違法薬物「ウルトラヘヴン」に手を出し、現実と幻覚の境界が揺らいでいく様子が描かれる。
物語は一応の筋はあるものの、幻覚描写を主軸にしており、作画もそれに合わせて非常に独創的。
特にトリップ中のシーンは常識的なコマ割りや構図から逸脱しており、読者の感覚を揺さぶる構成となっている。
単行本は3巻まで刊行されているが、2009年以降新刊は出ておらず、事実上の未完となっている。

ハクメイとミコチの表紙

我々の知らない“小さな世界”での暮らしを、丁寧かつ繊細に描いた日常ファンタジー。1話完結形式で展開され、日々の小さな出来事が優しく綴られていく構成は、まるで時間がゆっくり流れていくような感覚を味わえる。
背景や小物、森の自然描写に至るまで緻密な作画は圧巻で、ビジュアルの豊かさと情報量の多さに見入ってしまう。
登場するキャラクターたちとのやり取りも微笑ましく、暮らしの工夫や共存といったテーマがじんわりと伝わってくる。
癒しとワクワクを両立させた、読後感のあたたかい作品。

星屑ニーナの表紙

唐突な展開、急速に進む時間、あえて説明を省いた構成。
一見“読みにくさ”に感じる要素が、全体を通して見ると 大胆で実験的な演出へと昇華されている。
感情移入しきる前にキャラクターが退場し、 最終話の展開も衝撃的だが、それすらも本作の到達点として納得させられる。
“漫画の文法”を少しずつ壊していくような構造に、 ジャンプ的王道とはまったく違う“もう一つの可能性”を感じさせてくれる。
まずは2巻まで。そこまで読んで初めて、この作品の面白さが輪郭を持ちはじめる。

ラブ・バレットの表紙

“愛の弓”なんてもう古い。令和のキューピッドは、銃で恋を撃ち抜く。
『ラブ・バレット』は、不慮の死を迎えた少女が“未練”の力で蘇り、転生をかけて他者の恋を叶えていくという、斬新な設定のバトル×ラブストーリー。
銃を手にした少女たちは、ただ敵対するだけではない。
時に助け合い、時にすれ違い、友情とも愛情ともつかない感情が入り混じるヒューマンドラマが同時に描かれる。
百合的な要素も含まれつつ、アクションのテンポ感と“見せゴマ”のかっこよさが映える構成は、視覚的にも引き込まれる力が強い。
“人を好きになる”という行為に干渉しながら、自分自身の“生”を賭ける少女たち。
この設定だけで惹かれたなら、もう読むしかない。

人魚のムニエル 志波由紀作品集の表紙

SF的なアイデアを含みながらも、読み味としてはホラーではなく、喪失感や人との距離、置いていかれる感覚のほうが強く残る短編集。異様な出来事は起こるものの、怖がらせること自体が目的ではなく、その状況の中で人が何を感じるのか、何を抱えたまま生きるのかを見ていく作品に近い。

初期短編集らしい粗さはありつつも、どこか脱力したような癖になる世界観が広がっているのも特徴。話を綺麗に閉じるというより、感情や余韻を残したまま終わる短編が多いため、読後に続きを想像したくなるタイプの作品でもある。ロボットやタイムリープのような要素がありながら、印象に残るのは仕掛けそのものではなく、そこに滲む寂しさや妙な感触で、変わった余韻のある短編が好きな人に向いている一冊。

鈴木りつ短編集 考幻学入門の表紙

不思議さや少しの切なさを含みつつ、どこか温かみも感じられる短編集。奇抜な設定だけで押していくというより、現実の少し隣にずれたような感覚の中で、人の感情や距離感を丁寧に描いているのが印象に残る。

収録されている題材はかなり幅広いが、どの作品にも共通して、少し変わっていて、それでいて読後にやわらかい余韻が残る空気がある。そのため、短編ごとに違う味わいを楽しみながらも、一冊を通して作者の世界観に浸りやすい。不思議な設定の作品や、ほんのり切なさを含んだ温度感のある話が好きな人には特に相性が良い。サブカルに振り切るわけではないが、ポップさと個性を兼ね備えた、ヴィレッジヴァンガードに並んでいても自然に手に取りたくなるような雰囲気を持った作品。

心霊写真密売マニュアルの表紙

怖がらせにくるホラーというより、「変なことが起きてるのに、誰も丁寧に説明してくれない」まま前に進んでいくタイプ。だから不気味さはあるんだけど、それを恐怖で押し切る感じではなくて、独特の空気がずっと続く。

この作品の面白さは、謎がほどける快感をすぐ渡してくれるんじゃなくて、「分からなさ」自体を抱えたまま読ませるところ。好きな人は一気にハマるし、説明が欲しい人は置いていかれると思う。漫画をあまり読まない人に強くは薦めないけど、こういう“手触り”が好きなら、かなり刺さる一冊。

マリッジランドリーの表紙

マリッジランドリー

タカハシノブユキ

カートゥーン調のコミカルなリアクションが目立つ一方で、単純なラブコメや甘々な恋愛漫画というより、主人公が自分の結婚観や人生観を見つめ直していくヒューマンドラマ寄りの作品。恋愛のときめきだけを描くというより、30歳で結婚願望がなく、周りに合わせるように生きてきた主人公が、恋愛や失恋を通して少しずつ自分の殻を破っていく過程が中心になっている。
そのため、恋愛漫画として読むこともできるが、どちらかというと「自分はこのままでいいのか」「周囲のライフステージに合わせなきゃいけないのか」といった疑問を抱えている人に刺さりやすい作品だと思う。結婚や恋愛をキラキラしたものとしてだけ描かず、自分の人生をどう捉えるかという話として読めるところが魅力。

メタモルフォーゼの縁側の表紙

BLという題材をきっかけに、お婆ちゃんと女子高生が友情を育む、あたたかな人間ドラマ。
誰かと“好き”を語ることで、日々に彩りが戻ってくる――そんな喜びが、じんわりと胸を打つ。
市野井さんは新たな趣味に出会って人生に張りを見出し、うららは「本当は語りたかった気持ち」を解放できる相手を見つける。
ゆっくりと色づいていく彼女たちの日常が、読んでいるこちらにも優しく灯をともしてくれる。
実写映画化もされており、そちらも作品の魅力が丁寧に描かれているのでオススメ。

悪魔二世の表紙

悪魔二世

志波由紀

ホラー…だけど、全然怖くない。
むしろ癖になる“ゆるさ”が全体を包んでいて、 死や怪異をテーマにしているのに、どこか心地よい不思議な読後感がある。
1話完結型でテンポよく進みながら、菊光という存在の背景や世界観がじわじわと広がっていく構成も◎。
登場人物たちはみな飄々としていて、異界との境目すら曖昧な空気がクセになる。

イズミと竜の図鑑の表紙

竜が「金・名誉・神秘」の象徴として語られる世界で、その実像に迫る“フィールドワーク系”ファンタジー。
物語は、編集者と冒険者の異色コンビが、時に文化や政治の裏側に触れながら、図鑑の真実を探っていく構成になっている。
ただの冒険譚にとどまらず、多様な種族や制度、価値観が描かれ、異世界の社会構造までもが丁寧に掘り下げられていく。
特に、もふもふ系の獣人・アルフの存在感が強く、「カッコよさ」と「癒し」を同時に担うキャラクターとして非常に魅力的。
幻想の世界に“編集”というリアルな職業を融合させた点もユニークで、ファンタジー好きはもちろん、知的好奇心をくすぐられたい人にも刺さる作品。
読み進めるほどに、「図鑑って、こうして作られるんだ…」という新鮮な驚きと、地道な積み重ねへの尊さが心に残る。

坂本ですが?の表紙

坂本ですが?

佐野菜見

「何をするにも異様にカッコいい」という一点に全力を注ぎ込んだ、前代未聞のシュールギャグ作品。
坂本というキャラクターを軸に、まじめにふざける“様式美”のような笑いが繰り広げられる。反復横跳びすらアートに見せる演出や、登場人物のリアクションとの対比が絶妙で、ボケとツッコミの常識を覆す独特の間合いがクセになる。
作者・佐野菜見の硬質で洗練された画風も魅力で、「格好良さ」が突き抜けることでギャグになるという、唯一無二の世界観を作り出している。
1話完結型で読みやすく、アニメ化もされた人気作。

今際の際のファムファタールの表紙

19歳から10年間付き合ってきた恋人に不倫された女性が、元恋人への復讐を誓うヒューマンドラマ。

大きな特徴は、主人公・風香の内面を可視化する、かなり大胆な漫画表現が使われているところ。この実験的な見せ方を楽しめるかどうかが、作品との相性を分ける鍵になっている。

女性読者には共感できる部分があると思うし、個人的にはドラマ化もする気がする作品。

チロルチョコで働いています お菓子メーカーの舞台裏お見せしますの表紙

実在の企業が全面協力した“お菓子メーカーの舞台裏まる見え”コミックエッセイ。
新商品のアイデア出しから、味やパッケージの試作、工場での製造ラインや包装工程までがコミカルかつ丁寧に描かれ、読むだけでチロルチョコがもっと身近に感じられるようになる。
少人数で動く職場だからこそ伝わる「ひとつの商品にかける想い」と「全員で楽しむ空気感」があたたかく、読むほどにワクワクが積もっていく。
「お菓子を通じて世の中を楽しくしたい」――そんな企業スローガンがしっかり伝わってくる、まさに“食べられる夢の裏側”を描いた一冊。メーカーの仕事や企画職に興味がある人にもおすすめ!

ダウナー系お姉さんに毎日カスの嘘を流し込まれる話の表紙

ダウナー系お姉さんに毎日カスの嘘を流し込まれる話

作画:生倉のゑる   原作(オリジナル企画):はるばーど屋

ワンアイデアの継続で組み立てた短編連作。物語的な起伏や因果をあえて薄め、音の質感と間合いで“脱力”と微量の余韻を残す設計。公園のベンチという定点、夕方という時刻の固定が、虚実の境界を曖昧にし、嘘が嘘のまま通過していく心地よさを作る。SNSのスクロール読みと相性が良く、1話単位で最も効くタイプ。長編のドラマ性やカタルシスを求める読みには物足りなさが出るが、“何も起きない”こと自体を味わう読書に向く。

創る庭の表紙

創る庭

みかん氏

同人創作活動×百合×ルームシェアという要素が掛け合わさった作品。物語としては、創作に対して苦い記憶を持つ主人公と、何かしらを創っている住人たちが同じ空間で暮らしていく形になっているが、作品全体のノリや空気感にはかなり百合作品特有の雰囲気があるため、百合作品に多く触れてきた人には特に薦めやすい。

アダルトなシーンは特になく、柔らかな雰囲気や、可愛らしくスタイルのいい女の子たちの関係性、その場に流れる百合の空気を楽しむタイプの作品。そのため、強いドラマや感情を大きく揺さぶる作品というより、女の子同士が同じ場所で暮らしながら生まれる空気感や、百合作品らしい温度を味わいたい人に向いている一作。

顔面土砂崩れ 脳内アーカイブ

どこへ行こう?