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あらすじ
宗教2世として生まれた人々それぞれの人生を、話ごとに描いていくオムニバスストーリー。結婚や仕事、ひとり暮らし、家族との関係、周囲との違いや違和感など、日常の中にある具体的な悩みを通して、それぞれが自分の生まれや家との距離を考えていく。
家族仲が悪いわけではない。それでも、宗教とは縁を切って過ごしたいという思いや、悪人ではないはずの家族に対して拭いきれない違和感が残り続ける。そうした割り切れない感情が、静かに、でも確かに積み重なっていく作品。
どのような作品?
センシティブなテーマを扱っていながら、読み味そのものは必要以上に重く沈むものではなく、比較的明るめの温度で読める作品。宗教2世という題材を、告発や断罪として強く押し出すというより、そこで育った人たちが人生の節目ごとに何を感じ、何に引っかかり、どう折り合いをつけようとするのかを丁寧に見ていく。
家族を完全に憎めるわけでもなく、かといって何事もなかったようには受け流せない。その曖昧で複雑な感情が、この作品のいちばん大きな核になっていると思う。悪意のある加害者がいて単純に割り切れる話ではないからこそ、結婚や仕事、暮らしの選択の中でじわじわ効いてくる違和感が生々しい。作者の志村貴子自身も宗教2世であることが、この作品の静かな説得力にもつながっていて、複雑な感情が交差する人間ドラマとして強く印象に残る一作。
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